メニュー表の料理写真の撮り方講座。機材のことから光の考え方まで。

飲食店に取材に行くと、よく「どうやったら美味しそうに料理の写真が撮れますか?」と聞かれることがあります。料理の撮影はカメラマン業界の中でも特殊な分野で、人によっては料理は難しいからやりたくないという方も多い分野なので、一朝一夕ではうまく撮れるようにはならないというのが正直なところです。

とはいえ、飲食店では季節によって定期的にメニューの変更をされる機会が多く、手間やコスト面の問題で自分たちでサクッと撮ってしまいたいという要望が多いのも確かだと思います。難しい料理撮影ではありますが、ちょっとした撮影の基本や工夫を覚えるだけでも、写真のクオリティを上げることはできますので料理撮影の基本をお教えしようと思います。今回の記事では、facebookやインスタグラムに載せていいね!の数を増やせるくらいのクオリティを目標に書いてみます。

機材準備編

料理撮影にはミラーレスか一眼レフカメラは欲しい

飲食店のメニューの撮影をするからには、やはりそれなりの機材は必要になります。レンズ交換のできるミラーレス以上の機種が理想ですね。

レンズ交換ができるカメラが理想

料理の撮影をする上で、やはり写真のボケ感(専門用語で被写界深度と言いますが)は欲しいです。そのボケ感を表現するためにはミラーレス以上の機材が必要になってきます。写真のボケ感は、カメラのイメージセンサーサイズによって変わるのですが、今回は難しいことは抜きにして説明していきます。もしこれからカメラを購入するという方は、「ボケ味の出るレンズ交換ができるカメラを探しています」と店員さんに相談してみましょう。あとはどのカメラを選ぶかは、みなさんの予算次第です。一応アドバイスとしては、お店に使う写真を撮るくらいの用途でしたら、ミラーレスで十分だと思います。特にフルサイズのカメラはかなり高いので考えないほうがいいでしょう。

 

レンズはなるべく長めのものを選ぶ

なぜレンズ交換式のカメラがいいかというと、料理の写真を撮る時は長めのレンズが必要だからです。短いレンズだと絵が歪んでしまい、料理を美味しく撮るのが難しくなります。スマホでズームして撮影してもいいのですが、スマホの場合はデジタルズームという方式をとっていて、ズームをすればするほど画質は悪くなってしまいます。また手ブレもシビアになるため予算に余裕があるのであれば、やはりレンズ交換が可能なミラーレスか一眼レフカメラをお勧めします。

ちなみにコンデジでも最近はズーム倍率の高いカメラが多く出ているので、そういったカメラを選んでズームをした状態で撮影するのも一つの手です。その場合は手ぶれがしやすくなりますので、三脚につけて撮影するようにしましょう。




撮影編

料理は窓際の自然光の入る席で撮る

美味しくなさそうなメニュー写真は総じて、お店の黄色い光の下で撮られていることが多いです。黄色い白熱灯の下で撮ると、料理が色かぶりをして黄ばんだ写真になってしまいます。お店の雰囲気を活かしてあえてそのまま撮る方法もあるのですが、高度な技術が必要です。料理の写真を撮る時は、お店の明かりを消して窓ぎわの自然光が入る席で撮ると綺麗に撮れます。しかし自然光も直射日光になると、影の強いコントラストの高い写真になり料理には向いていません。なるべく光が回っている状態の場所で撮るようにしましょう。レースカーテンがある場合は、レースカーテンを引くと光が拡散されて柔らかくなるので、使ってみるといいでしょう。

光は逆光ではなく半逆光か真横に当てる

よくカメラブログなどで「料理は逆光で」と書いてあるものを見かけますが、半分あっていますが半分間違いです。確かに逆光気味に光を当ててあげると①料理の輪郭が浮き出る②料理にハイライトが入ってシズル感が出る、といったメリットはあるのですが、逆光にしてしまうと正面が暗くなりすぎてしまう場合があります。正面の暗い料理の写真を見せられても美味しそうには見えないので、逆光よりも半逆光で撮ってあげるといいでしょう。反逆光で撮ることで、料理にハイライトも出てシズル感も表現できますし、料理の正面側にも光が回ってきて素材感が出てきます。

さらに簡単なのは真横から光を当ててあげる方法です。逆光に比べて、より全体に光が回るので明るい写真が撮りやすくなります。一番撮るのが簡単なのはこの真横からの光なので、初心者の方は真横を意識して撮りましょう。

ちなみに料理で一番良くないのは順光です。順光で撮ると全体的に明るく撮れるのですが、立体感とドラマチックさが失われてしまい、いい写真にはなりません。

カメラの内蔵ストロボは使わない

逆光や半逆光で撮影すると、正面が影になって暗くなってしまいますが、暗いからといってカメラの内蔵ストロボを使ってはいけません。内蔵ストロボは光の向きが正面からしか当てられないため、逆光のようなドラマチックな光は演出できません。またストロボ自体の光がキレイではないので使うと汚い写真になってしまいます。

正面が暗いときの対処法

料理が影で暗いなと思ったら、レフ板を使いましょう。とはいえ、レフ板なんて普通持っていませんよね。なくても問題ありません。レフ板は白い紙であれば何でもいいのです。暗いなと思ったらA4の印刷用紙でも持ってきて、暗い部分に対して光を当ててあげればいいのです。この時に赤や青など色のついた紙は使わないようにしましょう。その紙の色が反射して、料理にかぶってしまいます。

白地のノートをこのように立てておくだけでもいい。ノートは自立してくれるので使いやすい。

アングルは食べる人の目線で

料理を撮るときのアングルは、食べる人の目線で撮ると違和感のない写真が撮れます。とはいえ底の深い器(石焼ビビンバなど)の料理はアングルを高めに設定してあげる必要があります。アングルを高くしないと、器の縁が邪魔して料理が見えなくなってしましますのでご注意を。また写真を撮る時は三脚につけた方が、構図やアングルをコントロールしやすくなりますので三脚につけて撮影しましょう。

俯瞰撮影はやめる

今流行りの俯瞰での料理写真ですが、これはやめておきましょう。俯瞰撮影は撮影技術が求められる撮り方です。また俯瞰で撮影すると立体感がなくなるというデメリットもあります。

料理写真は鮮度が命

たまに撮影現場に着いた時点で、すでに料理が出来上がっているお客様がいらっしゃいますが、これは写真撮影的にはNGです。料理の写真は鮮度が命です。サラダ一つとっても、時間が経つと葉がしおれておいそうに見えなかったり、お肉のジュージューとした瞬間が撮れなかったりします。料理の写真を撮る時は撮影のセット準備が完了した状態で、料理を完成させるようにしましょう。撮影担当者と料理担当者の息をしっかり合わせることが大切です。

 食材がしっかり見えるように盛り付ける

飲食店の撮影で、盛り付け方や飾りのせいで食材が見えなくなっていることがよくあります。ネギを上にかけすぎて下のお肉が見えていなかったり、もつ鍋なのにモツが下に埋もれて全く見当たらなかったり、飾りのお花で刺身が隠れてしまっていたり…お客さんが見たいのは食材です。実際の提供するときとあまりに盛り付けが違うとよくありませんが、写真撮影の時と料理提供時の盛り付けは少し違います。写真を撮る時に、しっかりと食材を見せることを意識して盛り付けるようにしましょう。

料理写真は寄りで撮る

料理の写真は寄りで撮ると食材の素材感が伝わりやすく美味しそうにみえます。また、引きで撮っていろいろなものを写しすぎると、何が主題なのかがわからなくなってしまします。寄りで撮ることで、何が主役なのかをはっきりさせましょう。上で書いたように、望遠気味のレンズを買っておけばグっと寄った写真が撮れるようになります。

敢えて少し引いて他のものも一緒に写すという手もあります。そうすることで写真が賑やかになったり、ボリューム感も出ます。他のものも一緒に写す時は、周りに目がいかないように主題よりも後ろの背景をボカして撮ってあげましょう。

食欲をそそる写真を撮ろう

簡単ではありますが、料理を撮る上での基本とちょっとした工夫について書いてみました。最初にも書いた通り、料理写真は簡単に撮れるようになるものではありません。毎日のように料理の写真を撮っている私でも、日々新しい発見がいっぱいあります。写真を撮る時は、その写真を見るお客さんの食欲をそそるような写真を目指して撮りましょう!

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